ちんぽ会
連休の日曜日。あっちゃんのお友達ご夫妻が遊びに来られたので、自宅で昼飲みをすることに。
以前にもお会いしたことがあるこのご夫妻、奥さんはテレビ番組のディレクター、旦那さんはラジオの構成作家という、一聞すると派手そうな職業なのだけれど、お二人ともとても落ち着いて慎ましいカップル。
奥さんが担当している番組は、名前は伏せるけれどとても有名な朝の情報番組。以前に「司会者はやっぱりヅラなのか?」と聞いても、守秘義務を守っていました。プロです。
自分は監督と言えば蜷川幸雄と相米慎二を思い出すので、何となく怖いイメージがあります。
なのであの番組でも司会者は「余計なことしゃべんなよヅラ!」とか「もっとテンション上げて喋れよハゲ!」とか罵倒されているのでは、と思っていたのですが、奥さんを見ていたらそんなことが無いと分かり、長年の偏見が無くなりました。
旦那さんの担当しているラジオ番組には、一度あっちゃんが出演したことがあるらしい。
でも内緒にされていたせいで聴くことが出来ず、旦那さんのお仕事ぶりはあまり分かりません。「じゃりん子チエ」が好きということだけは分かりました。
この日、夜にも飲み会を控えていた自分は、かなり酒量を抑えました。
そんなことがなかなかない為、自分が酔っていないのに、目の前の人(旦那さん)が酔っ払っていくのを、少し新鮮な気持ちで見ていました。
そういえば昔、義兄がハッパを吸っているところに遭遇した時も、こんな気持ちだったような気がします。
夕方になり、自分は友人たちを招くために家に残り、あっちゃんとご夫妻は近所の居酒屋に移動しました。
あとで聞いた話では、奥さんが酔っ払いのおっさんにモテモテで、店を去る際に「これあげるから持って行って!」と「だしの素」を手渡されたそう。
そのおっさんがなぜ「だしの素」を携帯していたのかは知らないけれど、きちんと受け取った奥さんの優しさに胸を打たれました。
友人たちが集まり、「ちんぽ会」を開催。
これは、こだま著「夫のちんぽが入らない」について語りながら飲むという会。
話自体の面白さに加え、弱い自分を認めながらも出版を決意する著者の強さ、同人誌(「夫の~」は、もともと同人誌をベースに書かれた私小説)との相違など、マニアックな話題が上がりました。
自分は「アマゾンレビューの批判に対する批判」について語りました。
批判の内容は「読んでも解決しなかった(ちんぽが入らなかった)、病院に行けと突っ込みたくなった」というのがほとんど。
これらは、たぶん本を読んでいない、普段読書をしない、私小説を文芸として認めていないような人が思いつく批判ではないのかな、と思います。
もしこの作品が、若い男女が努力してセックスを成し遂げ、ジブリ映画のように明るくつじあやのの主題歌で終わるような内容だったら・・・そっちの方がヤバい気がします。
「困難には正しく立ち向かうべき」というのはポジティブで良いとは思うけれど、それと私小説は別の話。
真面目に働き、風俗にも行かず、女も殴らない西村賢太の作品なんて、いったい誰が喜ぶのでしょうか。
そんなことをたくさん語り、ついでに「クウネルの辛辣なアマゾンレビューのおもしろさ」も話しながら、楽しく夜は更けました。
たくさんのお客さんが来た一日。
また遊びに来て欲しい・・・と思いながらも、ダイニングの椅子のことが気になってしまいます。
IKEAで買った安物のそれは、ボルトを何度締めてもギシギシと音がし、背もたれがバキッと折れてしまいそうなので、お客さんに座っていただくのは心配です。
でもその反面、その瞬間をちょっと見てみたい気もしてしまうので、買い換えるのはもう少し先でいいかな、とも思ってしまいます。